認知症の家族がいた場合、家族だけでお世話するのは何かと不安があると思います。
たとえ生活基盤である自宅であっても、介護慣れしていても、外部の施設を有効活用してみませんか。
この記事では介護する家族も安心して 認知症の親を預けられる「デイサービス」について、利用方法や費用、サービス内容を分かりやすく解説します。
デイサービスの提供サービス内容や1日の流れ
デイサービスでは、単に介護を受けるだけでなく、利用者様の心身の機能維持・向上や生活の質向上をサポートする充実したサービスを提供しています。
デイサービスの一般的な1日のスケジュールは、朝の送迎から始まり、夕方の送迎で終了します。
午前中は健康チェックや軽い運動、午後には食事、入浴、レクリエーションなどが行われます。
一般的な1日のスケジュール【一例】
施設によって多少、提供されているサービスは異なりますが、一例として下記スケジュールをご紹介します。
8:30~ 9:00:ご自宅から送迎、朝のバイキング 9:00~10:00:機能訓練:リハビリ専門スタッフによる運動プログラム 10:00~10:30:レクリエーション:脳トレ、カラオケ、季節の行事など 10:30~11:30:個別ケア:個別機能訓練、入浴、排泄介助、服薬管理など 11:30~12:30:昼食:旬の食材を使った栄養満点の食事 12:30~13:30:午睡・休憩 13:30~14:30:レクリエーション:創作活動、音楽療法、園芸など 14:30~15:00:おやつ 15:00~16:00:個別ケア:個別機能訓練、入浴、排泄介助、服薬管理など 16:00~16:30:自由時間 16:30~17:00:ご自宅への送迎 |
<食事>
栄養士が、利用者様の状態や体調に合わせて個別食事プランを作成して、利用者の健康状態や食事制限に合わせた栄養バランスの取れた食事が提供されます。
特に認知症の方には刻み食やペースト食など食べやすい形状や、誤嚥を防ぐための食事対応もされています。
また、行事食や季節のイベント食など、見た目も華やかで楽しい食事も提供している施設もあります。
<入浴>
デイサービスでは、専門のスタッフによる入浴介助が行われます。
個別入浴介助により、利用者様の状態や希望に合わせた入浴を提供します。
入浴が難しい方でも安心して利用できるよう、リフト浴や入浴介助用浴槽など、安全に配慮した設備も完備して、利用者様に適切なサポートが提供されます。
入浴後は、マッサージで心身をリラックスさせることもできる施設があるようです。
<機能訓練>
理学療法士や作業療法士など機能訓練士が、利用者の身体機能を維持・向上させるための訓練を行います。
利用者様の状態や目標に合わせて個別リハビリプランが組まれます。
筋力トレーニング、歩行訓練、バランス訓練など、運動機能の維持・向上のためのプログラムを提供しています。
<レクリエーション>
認知症の進行を遅らせるためのレクリエーション活動が行われます。
専門スタッフによるレクリエーションプログラムで、脳トレ、カラオケ、手芸やゲーム、音楽活動など、多彩なプログラムが用意されています。
季節の行事などもあり、楽しみながら認知機能の維持・向上や社会性の維持をサポートします。
<送迎サービス>
自宅から施設までの送迎サービスを提供している所が多いです。
車椅子対応車両も完備しているので、どなたでも安心してご利用いただけます。
利用者の安全を第一に考えた送迎が行われ、送迎中は、スタッフが見守りを行いますので、ご家族も安心です。
介護サービスの主な内容
デイサービスでは、ご自宅での生活を支援する様々な介護サービスを提供しています。
送迎サービスで、らくらく通所
ご自宅から施設までの送迎サービスを提供しています。
利用者の体調や安全を考慮し、専門のスタッフが対応します。
事前に予約が必要な施設が多いので、注意が必要です。
送迎時間は施設によって異なりますので、詳しくは施設にご確認ください。
生活介護サービスで、充実した日常生活を
食事介助、入浴介助、排泄介助、着脱介助など、日常生活における介護のサポートを行います。
その他にも、機能訓練やレクリエーションなど、個々の利用者に合わせた心身の機能維持・向上や生活の質向上をケアするサービスも充実しています。
具体的な介護サービス
食事介助 | ●個別食事プランに基づいた食事の提供 ●刻み食、ペースト食など、嚥下機能に合わせた食事対応 ●食事介助用具の利用 |
入浴介助 | ●個別入浴介助 ●リフト浴や入浴介助用浴槽など、安全に配慮した設備の利用 ●入浴後の清拭、着替え介助 |
排泄介助 | ●個別排泄介助 ●トイレ介助、ポータブルトイレの利用 ●排泄後の清拭 |
着脱介助 | ●個別着脱介助 ●衣服の着脱、更衣介助 |
機能訓練 | ●機能訓練士による個別リハビリプランの作成 (※機能訓練士とは看護師や理学療法士、作業療法士など資格を持ったものによる機能訓練をするもの) ●筋力トレーニング、歩行訓練、バランス訓練など ●運動機能の維持・向上 |
レクリエーション | ●専門スタッフによるレクリエーションプログラム ●脳トレ、カラオケ、季節の行事など ●認知機能の維持・向上、社会性の維持 |
上記以外にも、利用者様の状態やニーズに合わせて、様々な介護サービスを提供しています。
見学や体験可能な施設もあるようです。
詳しくは、施設にお問い合わせされるといいでしょう。
デイサービスを利用するには
デイサービスの利用条件
デイサービスを利用するには、介護認定(要支援・要介護)を受ける必要があります。
認定結果により、利用できるサービス内容や費用負担が決まります。
デイサービスを利用するまでの流れ
デイサービスを利用するには、いくつかのステップがあります。
以下で主な7ステップを詳しく説明します。
1)介護認定を受ける
デイサービスを利用するには、まず最初のステップは、介護認定を受ける必要があります。
介護認定は、市区町村の介護保険課窓口で申請できます。
申請には、介護保険被保険者証、主治医意見書などが必要です。
申請が受理されると、調査員が自宅を訪問し、本人や家族からの聞き取り調査を行います。
また、医師の診断書も必要です。
調査結果と診断書を基に、介護認定審査会が要介護度を判定します。
要介護度は、要支援1・2、要介護1から5までの段階があり、これにより受けられるサービス内容や費用負担が決まります。
<介護認定の流れ>
1.市区町村の介護保険課窓口へ介護認定の申請をする
2.介護認定審査会にて、心身の状態を調査される
3.要支援1・2、要介護1~5に判定される
<介護度>
◆要支援1・2
介護予防サービスの利用が可能
◆要介護1~5
通所介護(デイサービス)などの利用の他、ショートステイ、訪問介護など利用可能
(※要介護1以上は介護老人保健施設、要介護3以上は特別養護老人ホームへの入所なども可能)
2)ケアプランの作成
介護認定を受けたら、ケアマネージャーと呼ばれる介護サービスの専門家に相談し、ケアプランを作成します。
ケアプランは、利用者様の状態や希望に合わせた介護サービス計画書です。
介護支援専門員(ケアマネージャー)が本人や家族の意向を聞き取り、利用者の生活状況や希望を考慮して作成します。
ケアプランには、どのような介護サービスをどの程度の頻度で利用するか、利用したいサービス内容、利用頻度、利用時間などが詳細に記載されます。
これに基づいて、デイサービスや訪問介護などの具体的なサービスが提供されることになります。
<ケアプラン作成の流れ>
1.ケアマネージャーに相談する
2.ケアマネージャーが自宅を訪問し、利用者様の状態や希望を聞き取る
3.ケアマネージャーがケアプランを作成する
4.ケアプランの内容を確認し、同意する
5.市区町村にケアプランを提出する
3)事業所の選定
ケアプランが作成されたら、それに基づいてデイサービスを提供する事業所を選定します。
事業所を選ぶ際には、サービス内容、費用、場所、雰囲気などを比較検討して利用者のニーズや希望に合った事業所を選ぶことが大切です。
事業所選定の際には、事業所の所在地、提供するサービスの内容、スタッフの対応などを確認しましょう。市区町村の介護保険課やケアマネージャーからのアドバイスも参考になります。
<事業所選定のポイント>
●サービス内容:利用したいサービスが提供されているか
●費用:介護保険で利用できる範囲内か
●場所:自宅から通いやすい場所か
●雰囲気:利用者様が過ごしやすい雰囲気か
4)見学・説明を受ける
事業所が決まったら、実際に事業所を訪れ、見学や具体的な説明を受けます。
見学では、施設の設備や提供されるサービス内容、施設の雰囲気やスタッフの対応を実際に確認しましょう。
利用料金や利用方法なども説明してもらいます。
また、利用者の状態に合わせたケアがどのように行われるか、疑問点や不安な点をスタッフに質問することも重要です。
説明を受けることで、より具体的なイメージがつかめ、安心して利用開始できるようになります。
<見学・説明のポイント>
●施設が清潔で安全かどうか
●スタッフが親切で丁寧かどうか
●利用者様が楽しそうに過ごしているかどうか
5)契約する
見学と説明を終え、事業所に納得し利用したい事業所が決まったら、次に契約を行います。
契約書には、サービスの内容や利用料金、利用規約などが記載されています。
契約書をしっかりと読み、内容に納得した上で署名を行い、利用料金の支払い方法などを確認する必要があります。
また、契約時には、事業所から重要事項説明書の交付を受け、サービス利用にあたっての注意点や利用者の権利についても説明を受けます。
<契約のポイント>
●利用契約書の内容をしっかりと確認する
●利用料金の支払い方法を理解する
●解約条件を確認する
6)利用を開始
必要な書類を提出して契約が完了したら、いよいよデイサービスの利用が開始されます。
初回利用日は事業所と調整して決定し、事業所のスタッフと共に一日のスケジュールを確認しながら、サービスの流れや利用上の注意点を理解します。
初日はスタッフのサポートを受けながら、安心してサービスを利用できるように配慮されます。
<利用開始の準備>
●介護保険被保険者証
●ケアプラン
●その他、事業所が必要とする書類
7)デイサービス当日
デイサービス当日は、朝の送迎から始まります。
利用当日までに、必要な持ち物を用意しておきましょう。
自宅からデイサービスセンターまで専門のスタッフが送迎し、施設に到着したら健康チェックや日々の活動が始まります。
午前中は健康チェックや軽い運動、午後には食事、入浴、レクリエーションなどが行われます。
一日の活動が終了したら、再び送迎サービスを利用して自宅に戻ります。
毎回、利用者の状態やニーズに合わせたサポートが提供されるため、安心してデイサービスを利用できます。
<持ち物 一例>
●着替え
●タオル
●洗面用具
●飲み物
●その他、必要なもの
デイサービスの料金
デイサービスの料金は、いくつかの要素によって決まります。
以下、各要素について詳しく説明します。
1回あたりのデイサービス料金の相場
デイサービスの料金は、提供される地域、サービス内容や施設の規模によって異なりますが、一般的には1,000円~2,000円が相場です。
この料金には、食事、入浴、レクリエーション、送迎などの基本的なサービスが含まれます。
利用時間が半日なのか一日なのか、要介護度によっても料金は変わります。
また、特定のプログラムや追加サービスを利用する場合には、別途料金がかかることもあります。
利用者の自己負担
デイサービスの料金は、介護保険が適用される場合、利用者の自己負担は1割~3割となります。
自己負担額は、利用者の所得に応じて上限額が設けられています。
例えば、低所得者の場合は1割負担、中所得者の場合は2割負担、高所得者の場合は3割負担となることが一般的です。
自己負担額の詳細については、市区町村の介護保険課やケアマネージャーに確認すると良いでしょう。
通常規模型通所介護費用の相場
通常規模型通所介護は、一般的なデイサービスの形態です。
この場合の費用は、1日あたり約700円~2,000円が相場です。
以下に、要介護1から要介護5までの1回あたりの利用料金の相場を示します。
要介護5の利用料金は非常に高度な介護サービスが提供されることが多く、費用も高めになる傾向があります。
<通常規模型通所介護の1回あたりの利用料金の相場> 要介護1:約700円〜1,000円 要介護2:約800円〜1,200円 要介護3:約900円〜1,400円 要介護4:約1,000円〜1,600円 要介護5:約1,200円〜2,000円 |
通常規模型通所介護では、日常生活のサポートやレクリエーション、機能訓練などの基本的なサービスが提供されます。
費用は、介護保険適用後の自己負担額であり、地域や事業所、要介護度や利用時間、提供されるサービスの内容によって変わります。
地域密着型通所介護費用の相場
地域密着型通所介護は、地域に根ざしたサービスを提供するデイサービスの形態です。
この場合の費用は、1日あたり約800円~2,200円が相場です。
<地域密着型通所介護の1回あたりの利用料金の相場> 要介護1:約800円〜1,200円 要介護2:約900円〜1,400円 要介護3:約1,000円〜1,600円 要介護4:約1,100円〜1,800円 要介護5:約1,300円〜2,200円 |
地域密着型通所介護は、利用者の住む地域に特化したサービスを提供し、地域の特性や利用者のニーズに合わせたケアを行います。
通常規模型通所介護よりも利用料金が安くなりますが、地域ごとに料金が異なる場合もありますので、詳細は各地域の事業所に確認すると良いでしょう。
サービス加算
デイサービスの料金には、基本料金に加えて特定のサービスを受ける場合に加算される「サービス加算」があります。
サービス加算は、利用者のニーズに応じて追加料金として発生します。
サービス加算の1回あたりの加算料金は、50円~200円程度です。
上記の料金はあくまで目安であり、実際の料金は事業所によって異なります。
詳しくは、利用したい事業所にお問い合わせください。
入浴介助加算
入浴介助を受ける場合には、1回あたり約50円から100円の入浴介助加算がかかります。
この加算は、入浴時に必要なサポートや特別なケアを提供するための費用です。
各事業所によって料金体系が異なるため、複数の事業所を比較検討し、自分に最適なサービスを選ぶようにしましょう。
栄養改善加算
栄養改善のための特別な食事提供や栄養指導を受ける場合には、1回あたり約100円から150円の栄養改善加算がかかります。
この加算は、利用者の健康状態を維持・向上させるための栄養サポートにかかる費用です。
口腔機能向上加算
口腔機能向上のためのトレーニングや指導を受ける場合には、1回あたり約100円から200円の口腔機能向上加算がかかります。
この加算は、嚥下機能の改善や口腔ケアを通じて、利用者の生活の質を向上させるための費用です。
デイサービスを利用したい!どこに相談をすればいいの?
デイサービスの利用を考えている場合、まずは市区町村の介護保険課や地域包括支援センターに相談することをお勧めします。
ケアマネージャーや専門の相談員が、適切なサービスや事業所を紹介してくれます。
また、インターネットでの情報収集や、実際にデイサービスを利用している方の口コミを参考にするのも良いでしょう。
以下に相談できる主な場所とその役割について、6つの方法をご紹介します。
1.市区町村の介護保険課
市区町村の介護保険課は、介護保険に関する情報や手続きを担当する部門です。
ここでは、介護認定の申請方法や介護保険の利用に関する基本的な情報を提供しています。
また、介護認定を受けるための申請書類の提出や、要介護度の判定結果についての問い合わせもここで行います。
市区町村の介護保険課に相談することで、デイサービス利用のための第一歩を踏み出すことができます。
2.地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者やその家族が安心して生活できるように支援する機関です。
介護や福祉に関する総合的な相談を受け付けており、専門の職員が親身に対応してくれます。
ここでは、デイサービスを含む介護サービスの紹介や、利用手続きのサポートを受けることができます。
また、地域の介護サービス事業所に関する情報も豊富に持っているため、自分に合ったデイサービスを見つける手助けをしてくれます。
3.ケアマネージャー(介護支援専門員)
ケアマネージャーは、要介護認定を受けた方のためにケアプランを作成し、適切な介護サービスの利用をサポートする専門職です。
ケアマネージャーに相談することで、利用者のニーズに合ったデイサービスを紹介してもらえます。
また、ケアプランの作成や介護サービスの調整、利用中のサポートも行ってくれるため、デイサービスの利用をスムーズに進めることができます。
ケアマネージャーは地域包括支援センターや介護保険課を通じて紹介してもらうことができます。
4.インターネットでの情報収集
インターネットを活用することで、自宅にいながらデイサービスに関する情報を収集することができます。各自治体の公式ウェブサイトには、介護保険に関する情報や、地域の介護サービス事業所のリストが掲載されています。
また、口コミサイトや介護情報サイトを利用することで、実際にデイサービスを利用している人の体験談や評価を参考にすることができます。
複数の情報源を比較検討し、自分に合ったデイサービスを見つけるための手助けになります。
5.実際にデイサービスを利用している方やその家族
デイサービスを実際に利用している方やその家族から直接話を聞くことも、有益な情報収集方法です。
友人や知人にデイサービスを利用している人がいる場合、利用の感想や体験談を聞いてみると良いでしょう。
実際の利用者からの生の声は、デイサービスの雰囲気やサービス内容をより具体的にイメージするのに役立ちます。
6.医療機関
かかりつけの医師や病院のソーシャルワーカーに相談することも一つの方法です。
医療機関では、患者の健康状態や介護の必要性に応じて、適切な介護サービスを紹介してくれます。
また、医療機関と連携しているデイサービス事業所を紹介してもらうことも可能です。医療的なサポートが必要な場合には、特に医療機関を通じた相談が有効です。
以上のように、デイサービスを利用するためには、さまざまな相談窓口を活用することが重要です。
各窓口の役割や提供されるサービスを理解し、自分に最適なデイサービスを見つけるための情報収集を行いましょう。