1. はじめに
認知症とは?
認知症とは、脳の機能が低下して、記憶力や判断力、理解力などの認知機能に障害が出る病気です。
日本では、65歳以上の高齢者の約10人に1人が認知症と診断されています。
認知症は、完全に治癒する治療法はありませんが、予防や進行の遅らせることは可能です。
認知症予防には、脳の健康を維持すること、生活習慣を整えること、社会とのつながりを保つことが大切です。
2. 認知症予防の基本的な方法
認知症予防の基本的な方法は、以下の3つです。
1)脳の健康を維持する
2)生活習慣を整える
3)社会とのつながりを保つ
1)脳の健康を維持する
脳は、血流や栄養が十分に行き届いている状態であれば、健康を維持することができます。
そのため、バランスの良い食事を摂り、適度な運動を心がけることが大切です。
2)生活習慣を整える
喫煙や過度の飲酒、睡眠不足は、脳の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、ストレスを溜め込むことも、認知症のリスクを高めるといわれています。
3)社会とのつながりを保つ
人と交流する機会を増やすことで、脳の活性化が図られます。
また、社会の一員として生きることで、生きがいを感じられ、認知症予防にもつながります。
3. 認知症予防のための具体的な取り組み
1)食事
◆バランスの良い食事を心がける
認知症予防のためには、バランスの良い食事を摂ることが大切です。
バランスの良い食事とは、以下の5つの栄養素をバランスよく摂取することです。
- エネルギー源となる炭水化物
- 筋肉や骨を作るたんぱく質
- 細胞の材料となる脂質
- 体の調子を整えるビタミン
- 体の機能を助けるミネラル
具体的には、以下のようなものを積極的に摂取するといいでしょう。
- 主食は、ご飯やパン、麺類など、主に炭水化物からなるものを1日3食食べる。
- おかずは、魚、肉、卵、大豆製品、野菜、きのこ類など、バランスよく組み合わせる。
- 果物は、1日2~3個程度食べる。
- 乳製品は、ヨーグルトや牛乳などを1日1~2回程度食べる。
◆血管の健康を保つ
血管の健康を保つことも、認知症予防に大切です。
血管が硬くなると、脳に十分な血液が届かなくなり、認知症の発症リスクが高まります。
血管の健康を保つためには、以下のことに気をつけましょう。
- 塩分を控えましょう。
- 脂質を控えましょう。
- 野菜や果物を多く食べましょう。
- 適度な運動をしましょう。
◆具体的な食事方法
以下に、認知症予防に効果的な食事方法をご紹介します。
- 和食をベースにした食事を心がける
和食は、魚や野菜を多く使ったバランスの良い食事です。
また、だし汁や発酵食品など、脳の健康に良いとされる食材も多く含まれています。
- 青魚を積極的に摂取する
青魚には、DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。
DHAやEPAは、血管をしなやかにし、脳の機能を高める働きがあるとされています。
- 野菜や果物を十分に摂取する
野菜や果物には、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。
ビタミンやミネラルは、脳の機能を正常に保つために欠かせません。食物繊維は、血糖値の上昇を抑え、血管の健康を保つ働きがあります。
2)運動
◆適度な運動を心がける
適度な運動は、血行を促進し、血管の健康を保つ働きがあります。
また、運動によって脳の血流量が増えることで、認知機能の向上にもつながると考えられています。
認知症予防のためには、日頃からバランスの良い食事を心がけ、血管の健康を保つことが大切です。
3)脳の活性化を図る脳トレ
認知症の方の脳の活性化を図るには、記憶力や計算力などの認知機能を鍛える脳トレが効果的です。
また、日常生活に役立つ脳トレを行うことで、認知症の進行を遅らせることにもつながります。
◆記憶力や計算力を鍛える
- 単語や数字を覚える
単語や数字を覚える脳トレは、記憶力を鍛えるのに効果的です。
新聞や雑誌の記事を読んだ後、覚えた単語や数字を書き出す、漢字や数独を解く、などを行うとよいでしょう。
- 計算問題を解く
計算問題を解く脳トレは、計算力を鍛えるのに効果的です。
簡単な計算問題から始め、徐々に難易度を上げていくとよいでしょう。
- 歌や詩を覚える
歌や詩を覚える脳トレは、記憶力とリズム感を鍛えるのに効果的です。
好きな歌や詩を繰り返し歌ったり、音読したりするとよいでしょう。
◆日常生活に役立つ脳トレ
- 手作業をする
手作業をする脳トレは、注意力と集中力を鍛えるのに効果的です。
編み物や料理、楽器演奏など、好きな手作業をするとよいでしょう。
- 新しいことに挑戦する
新しいことに挑戦する脳トレは、柔軟性や創造性を鍛えるのに効果的です。
習い事を始めたり、旅行に行ったり、新しい趣味を見つけたりするとよいでしょう。
- 人と交流する
人と交流する脳トレは、コミュニケーション能力を鍛えるのに効果的です。
家族や友人と会話したり、ボランティア活動に参加したりするとよいでしょう。
◆脳トレを行う際の注意点
脳トレを行う際は、以下の点に注意しましょう。
- 無理をしない
脳トレは、無理をせずに楽しく行うことが大切です。
難しすぎる脳トレは、逆効果になることもあります。
- 継続する
脳トレの効果を出すためには、継続して行うことが大切です。
毎日少しずつでも、脳トレを習慣づけましょう。
認知症の方の脳の活性化を図るには、本人の興味や関心に合った脳トレを選ぶことが大切です。
また、無理をせずに継続して行うことで、認知機能の向上や認知症の進行の遅れにつながります。
4)社会とのつながり
認知症の方の社会とのつながりは、以下の2つの観点から重要です。
◆人と交流する機会を増やす
人と交流する機会を増やすことで、認知機能の向上や認知症の進行の遅れにつながると考えられています。
また、孤独感や不安感の軽減にもつながります。
具体的には、以下のような行動が挙げられます。
- 家族や友人と会話する
- 地域の集まりに参加する
- ボランティア活動に参加する
- 趣味や教室に通う
◆社会の一員として生きる
社会の一員として生きることで、生きがいや自己肯定感の向上につながります。
また、社会参加を通じて、新しい刺激を受けることもできます。
具体的には、以下のような行動が挙げられます。
- 投票に行く
- ボランティア活動に参加する
- 地域の行事に参加する
- 仕事やアルバイトをする
ただし、人と交流する機会を増やす際は、以下のことに気をつけましょう。
- 本人の興味や関心に合った活動を選ぶ
- 本人の能力や体力に合った活動を選ぶ
- 無理をせずに、自分のペースで参加する
- 周囲の人にサポートを求める
認知症の方の社会とのつながりは、本人の意思や能力を尊重しながら、無理なく継続していくことが大切です。
4. 認知症の方のご家族の心構え
認知症を理解する
認知症とはどのような病気なのか、症状や進行の仕方などを理解しておきましょう。
認知症の種類や症状を知ることで、認知症の方の行動や言動を理解しやすくなります。
また、認知症の進行の仕方を知ることで、介護の計画を立てやすくなります。
患者の気持ちに寄り添う
認知症になると、さまざまな症状が現れます。
認知症の方の気持ちに寄り添い、サポートしてあげましょう。
認知症の方が不安や怒りを感じているときは、優しく話を聞いてあげましょう。
話を聞くことでお互いに理解を深めることができる場合もあります。
また、認知症の方ができることを引き続きできるように、工夫してあげましょう。
できる限り認知症の方のペースで、できることを引き出すようにすることがポイントです。
自分自身の健康を守る
介護には体力や気力が必要なため、介護者であるご家族の方は自分自身の健康を守ることも大切です。
十分な睡眠をとり、バランスの良い食事を摂りましょう。
また、気分転換やストレス発散をすることも大切です。
認知症は、発症している本人だけでなく、ご家族にとっても大きな負担となります。
ご家族が心身ともに健康で、患者を支え続けられるように、周囲の人のサポートも大切です。
ご家族だけでは対処できないことは周囲の人や行政に協力を仰ぐといいでしょう。
5. まとめ
認知症は、完全に治癒する治療法はありませんが、予防や進行の遅らせることは可能です。
認知症予防には、脳の健康を維持すること、生活習慣を整えること、社会とのつながりを保つことが大切です。
また、認知症を発症した家族を支えるためには、認知症を理解し、患者の気持ちに寄り添うことが大切です。
認知症予防には、早期からの取り組みが重要です。
40代から始めることで、認知症の発症リスクを50%程度下げることができるといわれています。
認知症は、誰にでも起こり得る病気です。
日頃から、脳の健康を維持するための生活習慣を心がけましょう。